(敬称略)
1.始めに
本日お世話してくださる方:ザイン高田さん、藤木さん(拍手!)
高田さん>NHKプロフェッショナル(木)の取材が入っているのでよろしく
(飯塚社長を追いかけている)
社長を待つ間、皆落ち着かずざわざわ(^_^;)
2.飯塚社長登場(カメラを従えて)
「狭い部屋に押し込めて酸欠になったらごめんね(笑)」
柴田>講座の説明(学生、社会TAの構成)
5チーム連続でプレゼンし、まとめて講評をお願いします。
1チーム8分30秒で合図
飯塚>カメラに取られるとまずい人は?大丈夫?(2名ほど席移動)
社長からも藤木さん紹介
3.チーム発表
(1)チーム1 ALL in One
①チーム1の紹介
平井堅似のT沢君(笑いは取れた)
②今回の課題の意味:3回目の踊り場における一皮むけるかの転換期(クラルコム他に肩を並べられるか?)
③TA(24歳CA):色々なデジタルグッズが重い!→オールインワンのツールが欲しい(携帯ベース)
FMトランスミッターの利用シーンの説明(震災時の体験なども交え)
技術:FMとトランスミッター付きブルートゥースチップ
世界シェア目標、競合について(先行者はあるが、ザインなら従来先行者を同様追い抜くことは可能)
ALLインワンチップのKSFは設計力
+それを活かす経営力=チームマーケティング、アライアンス(ソニーの担当者にヒアリング)→開発スピードのアップに
+販管費を押さえて経常利益率25%を!
飯塚>差別化の方法が良くわからない。オールインワンは皆考えている。
A>現在の方法の延長?で考える。
飯塚>(後日コメント)携帯電話やオールインワンは発想としては皆が考えることなので差別化について更に具体的な提案が必要でしょう。
All in Oneの負の要素を分析してみるのも面白いでしょう。
かつてAll in One常に勝っているわけではないので。
(2)チーム2
①チーム紹介(S藤さんから順に、文学部出身者もいる)
女性の紹介には飯塚さんのコメント入っていました(笑)
②売り上げ10倍の意味=数を稼ぐ→携帯を
どの市場を?アフリカ(世界シェアの2割)を
成長率も魅力
アフリカ市場参入の利用(電力インフラの制約に抵消費電力技術で参入)
②狙っていくターゲット:ある程度価格を押さえた高機能携帯
識字率が低い→画像、音声コミュニケーションニーズ高い+低価格ニーズにザイン社
のLSIの強みを活かす
③ターゲット市場:ナイジェリア(アフリカ最大の人口、最大成長市場+第2世代中心
→抵所得者層も家族で携帯を使いまわしている←顧客になり得る
ナイジェリアの基本情報、MTN(メインキャリア)に絞って調査し、そこに入っているメーカとのアライアンスを考えた。
→ノキア、サムソン(内製)、モトローラと提携を(現在の取引メーカを分析した結果)
アフリカ戦略の説明→その後モトローラと組んで世界制覇へ
世界での収益見込み→2000億円に
まとめ
飯塚>アフリカで特に売りやすいのはローパワー?世界どこでもそうでは?
A>電力事情を考えるとアフリカでは特に強みとなりえる。
飯塚>(後日コメント)アフリカ市場に着目、分析したのは大変おもしろい。
しかしアフリカ市場を取るために必要な要素が低消費電力というのは、
すこし真っ直ぐすぎるか。先進国のモデル落ちと戦う戦略など欲しい。
また電話の開発とチップの開発の関係など研究してみると更に面白い。
(3)チーム3「眠れる市場と社会的価値」
①チーム紹介(横1列に立ち上がって)
②現状のザインの売り上げ他の分析
(メイン商品の成長鈍化)→新分野開拓の強化
現在の取り組みで十分か?
携帯市場:クアルコムでも5000億円
売り上げ10倍+利益率20倍→社会貢献拡大を意味して行るのでは?
→補聴器市場(どよめき)
なぜ補聴器?→mixed シグナル技術を活かせる
(補聴器の概要説明、デジタル、アナログ)
補聴器市場:65歳以上の1/3(730万人以上)
今後は1兆円から1。5兆円市場に
補聴器が普及しない理由(性能、価格、形状)に対してザインの強みを活かした事業戦略を提案(アライアンスorスーパーサプライヤーへ)
→モジュール化、カスタマイズ化→世界市場へ
売り上げ予測:2008年に1800億円へ
補聴器事業の社会的価値、CSR↑のメリットについて説明
(格調高い、素晴らしいエンディングでした)
飯塚>補聴器市場の疎外要因はどのくらい確か?
夢があるね、着眼点が素晴らしい。
(後日コメント)補聴器という市場に着目したのは大変面白い。
補聴器メーカの競争関係の詳細な分析があるともっと
面白くなった。
(4)チーム4
①元最強の素人集団(TA含めて学生だけのチーム)
②課題の意味:世界への挑戦(人材と事業拡大の両輪が必要)
③外国企業との提携
他のチームが話したので途中略(折々に笑いを取っている)
貴社製品の特徴と強み
→もっと大きなパッケージングでの最適化を提案
(ザイン、CPUベンダー双方のメリット→顧客側のメリット説明)
提携企業先の提案(世界2位の英MIPS社)
④グローバル人材の確保(少なくとも数百人規模)
→量と質の両立を求めて合弁会社と留学生誘致によるインド人エンジニアの確保を
欧米企業の技術者を事業提携で、+インターンシップによる学生誘致
戦略の全体イメージ図の提示
目標売り上げ
まとめ
携帯世界市場に合弁で+グローバル人材の確保
飯塚>人に着目されたのは良い。技術については言いたいことがたくさんあるが(笑)
企業は人ですからね、重要なポイントです。
(後日コメント)人材獲得にグローバルな視野を持つという着目点は大変重要。
日本の移民政策に触れるような分析も面白いかもしれない。なぜ日本には一級の外国人労働者が少ないかなど。携帯、CPUベンダーとのアライアンスはもう少し研究を深める必要があるかも。
(5)チーム5
①チーム紹介:今まで3人の仲間が去った→残った我々は打たれ強い!(笑)
②現状把握→予測と目標
売り上げと利益の分析→目標達成には特殊品を→宇宙航空産業(ピラミッド構造)をターゲットに
全体で4兆円(2025年には40兆円に)
ザインは宇宙機器産業へ(高い単価と高い波及効果)
市場成長高い(衛星など)
ザインが参入する意義、必然性→QCD、特に短納期化、コンパクト・省電力化、長寿命化のニーズなどに対応可能
参入障壁も説明(企業としての実績と信頼性)
宇宙産業内でのターゲット:宇宙用の最先端を開発し、全体のボトィムアップを図る
例>カルマンフィルタを内蔵した半導体
既存半導体の高度利用
情報通信衛星のロードマップ、競合のベンチマーキング(ADI社、mixedシグナル設計技術重視)
必要な投資額の見積もり←ここで柴田先生から巻き入る
アライアンス候補
人材の調達(ペガサスプログラム)、スター研究者の取り込み(PPP10億円)
アクションプランと組織形態、マネジメントスタイル(盛り沢山!!)
飯塚>(後日コメント)宇宙産業を提案されたのは大変面白い。
しかし、市場規模、市場の性質とザインとの関係の分析にかなり頑張ってくださったのを感じ、感謝に耐えません。宇宙産業と既存の半導体メーカーのビジネスの分析をもう少し加えると良かった。
4.講評
飯塚>感動しました!アフリカに行ったり、宇宙にまで連れていってもらった。
色々なヒントをもらえた
市場の大事さ、人材、チームの大事さに気づいているのは良い。
現実的な商品、技術の具体的なところを経験すると具体性は増すだろう。
まずは夢がないといけない。その点では良かった。
現実のビジネスとは距離があり過ぎて15分はしゃべり切れないので、フリーなQA方式でやりましょう。
柴田>学生からQを
(飯塚社長は、毎回学生の名前を確認しながら丁寧に答えてくださいました。)
Q>社長がお考えの「夢」とそのかなえ方は?
飯塚>自分の夢は「日本の文化を、足が地についた形で変えたい」
インドまで行かずとも良い人材が新興企業に集まる文化を(模範まで行かなくても参考になれるよう)日本にも根付かせるよう一矢報いたい。成功例を生み出すことがその起爆剤になると思っている。日本半導体ベンチャー協会(JASVA)の活動もそうした意味合いが強い。
Q>ザインにとっての世界は?
飯塚>ザインの客はどんどん海外に進出。もともと日本のエンジニアとして自分のキャリアを始めたが、日本のキャリアの選択肢は極めて貧弱という問題意識が出発点。
先進国並みのキャリアディベロップメントの向上が必要。特にこの10年間で少子化の影響もあって危機感は益々向上している。
国家戦略がないと産業は国際競争に負ける(例>電機業界)←まだ危機意識が不足している
今後日本は何を発信していくのか?という視点がないと今後世界で戦っていくのはますます難しくなる。
Q>最近ベンチャーやファンドで失敗した人が多い。このような風土(チャレンジャーを評価しない)に危機感があるのか?
飯塚>この風土に一番危機感を持っている。
1990年位から世界が大きく変わり始めたときに、日本はどうしたら良いかわからなくなったようだ。自分の意見を持てない、実行できない層が大きくなってしまった。これは家庭・学校など環境も含めて変えていかなくてはならない。
Q(TA)>技術者と経営者の双方を極めて、どちらかでしか学べないこと、どちらでも学べることはあるか?
飯塚>それぞれ楽しんだことは事実(苦しんだこともあるが)
自分が忘我の境地になれるのが仕事でそれはどちらでも変わらない。
仕事は自分を磨く自己実現の「場=道場」、職場に行って数時間いるとハイになってくる。
そういう「場」を作ることが経営者の役目か。
「芸は人を救う」というが、「職業は人を救う」と思う。
年間の学生訪問者は300人以上来るが、全員にあって話している(採るのは数%だが)。
働く場で自分を磨くのは技術者でも経営者でも変わらない。
経済同友会でリクルートの人に聞くと大企業は買手市場、1000人以下では3.5倍の売手市場。その点ザインは恵まれている。
飯塚社長より、ザイン辰馬氏紹介
辰馬氏 :ザインには航空宇宙学科出身が2名 います。
Q>ザインに向かない人は?
飯塚>「指示待ち人」と「くれない人」はザインにむかない。自分の意見を持ち、かつチームで動ける人が向いている。
Q>好きな作家は?
飯塚>どうしよう?(笑)小説は好きでないし。
Q>チーム5の発表者(飯塚さん印象強かった):飯塚さんにとっての仕事とは?
飯塚>人が幸せに生きるために職は非常に重要。忘我の境地に到達できる瞬間が人間にとって幸福な瞬間だと思う。
Q>国家戦略と自分の選択の優先順位は?
飯塚>日本の文化は個人が粗末にされている。
すべてお上が決める←外国の人とつきあうと「違う」と感じる。
結果平等国(格差が話題になっているが、まだまだ)
個と知の時代に(人はある分野では他と3桁程も能力がちがうことがある)
Q>起業で成功するのは一握り、成功する人の共通点は?
飯塚>ベンチャー=拝金主義と思われて非常にまずい。
長期的には大義を持った人が成功する。(金が欲しいという意識も必要。無い場合は逃げがある)
ちゃんと社会貢献すると適正利潤がとれるはず+チーム(人の力)が活用できる人が成功する
大義によって皆が同じベクトルを持つこと。
Q>個を大切に→具体的にはどんな教育?
飯塚>偏差値で大学を決め、就職先を安定性や伝統で決めている。少しずつ変わってきているが。
一生懸命に勉強して、学者になった人も、もっと尊敬されるべき(サッカー選手や野球選手だけでなく)悪平等を推進している先生を何とかしなくては(自然発生だから余計怖い)→やはり成功例を増やすのが一つの方法?
例>日本半導体ベンチャー協会(学生会員もあり)のキャッチフレーズは「成功例を増やそう
」
キーワードは「かあちゃん」←例えば、家庭に眠る箪笥預金がベンチャーに投資されるようになれば世の中の意識は随分変わったと言えるようになるだろう。
Q>先ほどのプレゼンに「夢が無いとね」と「経験が無いと」とコメントされたが、今の我々に必要なものは?(夢を追うのか、経験を積むのか)
飯塚>夢は数年すると変わるもの。夢を追いつつその時に絶対必要なことをやっていく。
皆さんは元気があるし、失敗もいっぱいして経験を積んでいこう。
回復できない失敗は避ける。まず借金はしない。日本は失敗に対するペナルティが巨大。
リスクを上手にヘッジしながら、借金をして致命的な失敗になるのでなく、擦り傷程度の失敗をたくさんしよう。(笑)
現在ファンド(32億円)を立ち上げている(技術・もの作りベンチャーに)
出資は担保で追わず、ハイリターンを目指す。貸し付けは利潤が数%と低いため安全サイドに走るしかない。
最後に>こういう試みは素晴らしい。ヒント、夢をもらった。ザインもインドに目を向けている。皆さんも良いところに目を向けている。今後もサポートしたい。人生相談もOK。
柴田>今回は検討に値しないとの評価をいただいたが(笑)、1カ月後に自分たちの事業計画を発表するのでファンドよろしく(笑)
飯塚>半導体でね(笑)
辰馬氏>採用の担当、ホームページ見てください。就職もよろしく。(文系もok)社会人の中途採用もあり(笑)
イノーバファンドもよろしく
5.今後の予定など
柴田>ザインの皆さん、発表者はじめ学生さん、TAなど皆さんありがとう。
来週の事業計画発表はMUSTではない。(希望チームのみ)
以上
ザインエレクトロニクス社 高田さま、議事録確認いただき、ありがとうございました。
(
文:TAごっちゃん 写真:かねきよ/Blogサポーター)